記事一覧

愛らしい姿に心が癒される

  • 2016年11月09日(水)10時28分

アップロードファイル 2-1.jpg

「人形の顔って怖いイメージがあったけど、この人形はとても可愛らしくて心が癒されるわ」。さいたま市岩槻区在住の稲邉さんの個展会場で交わされる来場者からの声。全国各地で開かれる年2回~3回の個展が稲邉さんの創作活動の柱である。「皆が幸せになる人形を作りたい」。見ているだけで心地よくなったり、優しい気持ちになれる人形。そんな人形を作ることが稲邉さんの願いだ。
人形作りを始めたきっかけは、子育てがひと段落した35歳のこと。友人から誘われて始めた粘土細工の人形作りだった。誘われた時は気が乗らなかったというが、半年もしないうちに、一生のライフワークになると確信するほど、のめり込んでいった。もともと絵を描いたり、裁縫などの作品づくりは大好きだったという。今では日本創作人形協会展グランプリなど、数々の賞を受賞する創作人形の第一人者である。稲邉さんが創作活動で一番時間をかけるのが人体造形だ。デッサンは数年間かけて彫刻家からみっちりと学んだ。人形が生きているかのように表現されるのは正確な人体造形だから。
稲邉さんの作品は造形美にとどまらず、衣裳も独特の美しさが表現されている。古布を使った人形の着物の柄合わせは京都の着物業者も「特別な色彩感覚の持ち主」と舌を巻くほど洗練されている。稲邉さんの手から産み出される人形は、その愛らしい姿から国内外に多くのファンがいる。2011年7月には、創作人形に造詣が深いヨーロッパの駐日大使から当時のローマ教皇・ベネディクト16世に創作人形を贈りたいという依頼が入った。早速、作品をバチカンまで本人自ら届けることに。「ローマ教皇にお会いできるなんて夢のようでした。お届けすると大切に手に取って喜んでいただきました」と稲邉さん。作家人生で最高の想い出深い出来事となった。