2022年10月28日発行（第1018号）

GATE & BEC 代表・元利香（ウォンリーヒャン）さん
自ら営む英語スクールで実用英語の効果的な習得方法として、“語学とダンス”という異色の記憶領域に着目し、「記憶の鍛え方」について長年に渡り研究を重ね、語学習得に着実な効果を示してきた元さん。韓国語、英語、日本語を日常的に使う貿易業の家庭で育ち、通訳の道を選んだが、なぜ異色の記憶領域に着目してきたのか。幼少期にバレエや美術全般を学ぶロシア留学を経験し、その後も「谷桃子バレエ団」の三木氏、全日本10ダンスファイナリスト塩野氏や、アルゼンチンタンゴ・アジアチャンピオンEmanuel MANAら、第一線の講師の師事を受けながら、ダンスや言語の「記憶の領域」にみられる共通点を研究、活用した結果、多大な学習効果が見込まれたからである。

僅か２冊の本のみで始業し、越谷市の産業支援で起業したGATEは、ネイティブ講師と授業を通じて研究を重ね、語学習得に最適な独自のメソッドを作り上げ効果を示してきた。そして幼児期の早期教育から退職後の生涯学習まで、幅広い層の生徒が学ぶ評判のスクールへと成長した。各種試験にも強く、生徒を東京外大、早慶上智などの難関校に送り込んできた実績は、元さんらが20年強かけて研究した成功メソッドの証である。生徒たちは合格後も実用英語の目標を達成しようと学習に勤しんでいる。さらに、これまで地域社会に支えられてきたことを思い、高齢化する社会や地域に貢献するという生涯学習活動の取り組みが評判になっている。GATEの実用英語とは、「大学のゼミで留学生と同じレベルでのディスカッションが、テーマ毎に実現可能な語学力を身に付ける」という目標に対する指導法。近年ようやく日本でも英語指導の最重要課題とされるようになった“４技能を身に付ける教育”を20年前から徹底し、成果を上げている。（■詳細のご案内　@gatescinfo）

一方で、言語系、視覚系、運動系の記憶領域の研究のために、日々バレエ、ラテン、タンゴの訓練も続けながら、ダンスコンサルタントとして、少人数（１回４人まで）のベーシックダンスクラス（BEC）を行っている。語学とともに少人数制が重要なクラスで、着実に指導可能な最大の人数だという。発端は、生徒たちの保護者の方々から出たものだ。20年の間に、加齢とともに身体や脳の衰えが気になってくる世代も増加していた。そこで、有志とともにBECを始めた。（■詳細のご案内　＠becinfodesu）

「言語とダンスの記憶領域の活用研究を取り入れ、幼児から老後まで、語学やダンスの生涯学習が誰にでもできるスクールこそが、当校の最終的な形だと気づきました」と話す元さん。以前から元さんは、一般的にダンス教室は費用も高く、専門性を追求する特別な人の場所になりがちで、自らもその不便性を感じていた。だからBECでは費用も極力抑えている。このスクールは気軽に一般の人でも始められるダンスや専門的な語学学習を通じて、脳トレ、踊れる身体作り、芸術鑑賞、老後の趣味の一つとなるような文化的活動を目指している。

「女性は子育てを終えると自由が増えますが、人生を楽しめない状況に陥ることもあるかもしれない。だから、ここでは一度も踊ったことがない初心者の皆さんも、踊れる身体作りに参加できるよう、費用を抑えて楽しめる“日常と違う時間や空間”をご案内しています。個々の美の目標を持ち身体作りをすることや、鏡を見ながら芸術的な音楽に合わせる動きを習うことで、“踊れる身体づくりをしてみたい”という向上心が自然に生まれます。１週間に１度だけでも、学びの時間のお手伝いができればと思います」。

「言語学習と基礎的なダンス練習を日常生活に取り入れることは、脳の別領域が常に刺激されるので、脳トレや美を意識した身体作りに最適です。さらに、外国語やダンスは世界共通の会話のツールではないでしょうか。外国人との交流や共通の趣味を持つ友人ができるなど、国内外問わず、それぞれの場でコミュニケーションが生まれるのも魅力ですね」と元さん。

現在、BECではバレエ基礎のバーストレッチと筋トレ、ヒールウォーキング、ベーシックワルツ・タンゴを平日13時～15時で実施中（BECサークル無料登録制　参加費1回1,100円～）。
なかでも無形文化財であるアルゼンチンタンゴは、すでに世界中で認知症やアルツハイマーなどの症状改善の効果が実証さいれているダンス。スペイン語の歌やタンゴ音楽鑑賞、ダンス技法など多分にレッスンに取り込んでいる。今後は、この生涯学習の意味を伝える活動を通して、誰にでもわかりやすく、最初の一歩を一緒に踏み出せるような「語学とダンスを通じて生涯学習を楽しむスクール」を案内していくという。